実験的な事件2

  • 2008.08.16 Saturday
  • 18:36

 というわけで前回の続きである。このブログとしては(ネオになってから)初の2日連続更新となる。というより、月に1,2回しか更新しないものを「ブログ」と言い張っている方がどうかと思うのだが。


ワタシ(以下、渓):現在までの状況をまとめると、この部屋は密室。つまり、犯人はこの3人のうちにいる、ということになるわよね。まず火曜サスペンスの第1法則から言って、1番怪しいやつは犯人じゃない、と。

助教の八月春(以下、春):つまり、先生は犯人ではないと言うことですね。

渓:…まあ、議論しても無駄だとは思うから、もはや何も言わないけどね。とりあえず、一番怪しいやつを除外するとすれば、八月春、あなたが犯人ではなくなるわけ。そもそもあなたが犯人だとすると、こんなものじゃすまないはずだから。もっと、徹底的にやるわよね。

大学院生の葉名真樹子(以下、葉):多分、研究室が爆破されたと推測されます。

渓:そして、第2法則、シリーズ物の場合、最終回でなければ主人公は犯人ではない。したがって、ワタシも犯人ではない。

春:えーと、いろいろ突っ込みたいところはたくさんあるのですが、とりあえず、今回で最終回になるように努力してもいいですよ。

葉:主人公の定義に著しい疑問が生じています。

渓:ワタシ以外に誰がこのブログの主人公なのよ。ぶりがに?

春:そもそもブログで主人公、という概念に誤りがある気がしますが。ブログってそういうものでしたっけ

葉:閑話休題。先生の推理を聴取する限り、私が犯人説を前提に構成されていると推察されますが。

渓:その通り。犯人は植物学的に考えて、ハナマキ、ずばりあなたね。

葉:承服しかねます。証拠を提示して下さい。

渓:「パスワードが違います。再入力してください」みたいな口調ね。いいでしょう。証拠ならちゃんとあるわよ。堀君は倒れる際に植物学的なメッセージを残してくれているわ。

春:植物学的なダイイングメッセージですか? 自分でトリカブトの根を煮詰めた液を飲んで吐血した血で作ったインクを使って犯人の名前を書いているてとか?

渓:それはどう考えても自殺だから、ダイイングメッセージはいらないと思うんだけど。あと、何度も言うけどまだ死んでないから。たぶん。そうじゃなくて手を見てみなさい。

葉:手は現在実験中なので劇薬を所持。

春:あなたの手じゃなくて堀君の手よ。というか、その緑色の泡が出ている液体、怖いから向こうの部屋に置いてきなさい。

春:堀君の手、ですか…? うつぶせなっててちょっと見にくいですね。ちょっと仰向けにしてくれる?

渓:あ、ありがとう。ほら、こうしてみるとはっきりとメッセージがわかるでしょう。

春:買い物メモが書いてありますね。生活感が出てるなあ。

渓:いや、そこじゃなくて。彼がつかんでいるものを見なさいよ。

葉:劇薬は静置してきました。…堀助教の両手を観察するのですか? 両大腿を掌握中ですね。

渓:そう、自分の両太ももをつかんでいるでしょう。フトモモ

春:フトモモ…まさか、フトモモ科ですか。

渓:そう、フトモモ科。植物のハナマキはフトモモ科に属する。つまり、犯人はハナマキということよ。

葉:…。

春:えーと、たぶん堀君が両足をつかんでいるのは、足がつったからだと思います。ほら、先生の机の頭上あたりに吊り戸棚がありますよね。

渓:そんなのあったかしら…あ、ホントだ。あんな高いところに吊り戸棚が。…なんか重そうな漬け物石が置いてあるんだけど。

春:ええ、20キロはあります。床にあった標本押し用の石をさっき堀君にそこに置いてくれるように頼んだんです。さすがに高すぎたみたいで、つま先立ちになってやっと載せたみたいで。直後に足がつった、と叫んで両足の太もも辺りを押さえていましたよ。ちなみに堀君が倒れた音を聞いたのは、その直後です。現場は見てませんけど。

渓:ちょっと待った。その石が何かの弾みで下に落ちたとすると、ワタシの椅子の辺りを直撃なんだけど。

春:おや、そうですか。全く気づきませんでした

葉:未必の故意

渓:いや、どう考えても必然だから。全く、相変わらず油断ならないわね。でも、あなたの言っていることが正しいとすると、ハナマキ犯人説は一歩後退ね。

春:もともと1歩も進んでいない気がするんですが。逆に100歩くらいそのまま後ろに下がって火曜サスペンス的な崖の上から落ちている気がしますけど。

渓:崖の上って…。

葉:人類転向希望魚類の子も驚愕。

春:人類転向希望魚類の子…ああ、あれか。中国の映画サイトとかではこう書かれるんですかねえ。

葉:…渓中先生、八月助教。犯人、指摘可能です。今、堀助教の様子を観察し、犯人が誰か理解に到達しました。それは…


さらに続く。

 うちのエアコンが壊れました。現在、34℃の室内でブログを書いています。今なら刃物とか毒薬とかなくても、ただ密室にするだけで殺人可能だと思います。脱水症状で。

お盆休みですが、ランキングもなんとなくよろしくお願いします。お時間のあるときにでもクリック投票を→

実験的な事件

  • 2008.08.15 Friday
  • 01:14

 蒸し暑いある日。ふと床を見ると堀君が倒れている。「ああ、夏だなあ」、と思う瞬間である。


助教の八月春(以下、春):死にかけている人を見て、夏の風物詩みたいに言うのはどうかと思うのですが。

ワタシ(以下、渓):と言いつつ、全く助ける様子がないわね、八月春。

春:まあ、いつものことですから。ハナマキ、標本を押すついでに助けといて。

大学院生の葉名真樹子(以下、葉):労力の浪費なので、拒否します

渓:さすがにちょっとかわいそうになってきたわね。

春:大体、このブログも月刊連載みたいになってきているんですから、堀君、と言ってもなかなか通用しないと思いますよ。人物紹介をしておいた方がいいんじゃないですか。

渓:そうねえ。堀君というのは…えーと、下の名前なんて言うんだっけ?

葉:権二郎

春:違うわよ、ハナマキ。小次郎でしょ

私立明聡大学助教の堀幸二郎(以下、もう台詞はないけど、堀):お、惜しい…幸二郎、です。

渓:あ、生きてたんだ。じゃあ、自力で助かって

春:何か、また倒れましたけど。今のがとどめの一言になったみたいですね。

渓:とにかく、堀君というのは、元うちの研究室のポスドクで今は私立大の助教をやっていて、共同研究のためにたまにまだうちにも来ている男。ま、彼の説明はこれでいいでしょう。もう一生分くらい説明したわ。で、堀君はなぜ倒れてるわけ。

春:えーと、まあ、いつものように後頭部に謎の打撃を受けて倒れているようなんですが…しかし、これは気になりますね。

渓:どこが? 至って日常的な出来事でしょう?

葉:入り口が施錠済みです。

春:あ、ハナマキも気づいた? そうなんですよ、先生、入り口のドアに内側から鍵がかかっているんです。

渓:鍵? 何でまた。

春:さあ…しかし、それよりも問題なのは。先生、鍵持ってますよね。

渓:心の鍵ならだいぶ昔になくしたわ。

春:そういう戯れ言は結構です。あ、持っていますね。で、ハナマキ、あなた学生用の鍵を持っているわよね?

葉:真実への鍵は紛失しました。

春:だから、そういうのはもういいから。ふむん、やっぱり持っているわね。…やはり、気になりますね。

渓:何が?

春:いえ、先生が自分の鍵を持っている、ハナマキが学生用の鍵を持っている、そして私が自分の鍵とお盆休み中の事務室から借りてある鍵を持っている…すると、ですね、この部屋の鍵として元々作られた4本は現在全て私たち3人が持っていることになります。

渓:スペアキーを誰か作ってるかもしれないでしょう。

春:いえ、ここの部屋は結構最新の錠前を使っているらしく、そう簡単にスペアキーは作れないんです。ほぼ間違いなくこの4本しかないですね。

渓:無駄ね。こんな猛獣の檻みたいな研究室に丈夫な鍵をつけてどんな泥棒が入るっていうのかしら。

春:猛獣を閉じ込めておくためじゃないですか、たぶん。

渓:まあ、確かにあなたを見たら鍵を閉めたくなるでしょうねえ。しかし、その4本がここにあることのどこが問題…ああ、なるほど。

葉:堀助教殴打の犯人はこの3人の中に存在

春:まあ、そうなるわね。部屋に鍵がかかっているのに、鍵は全て部屋の中にある。仮に堀君を殴った犯人が外に逃げたとしても、鍵のかけようがない。要するにここにいる3人の誰かが犯人と言うことですよね。じゃ、先生早く自首して下さい

渓:ちょっと待ちなさいよ、八月春。いつも通りあなたが殺ったんでしょう? 自首するのはあなたでしょ。

春:まだ死んでませんけど、堀君。それに、いつも通りって。自分のところの助教をそういう目で見ていたんですか。

渓:うん、もちろん。

春:まあ、そうだとは思いました。でも、私じゃないです。そんなつまらないこと隠してもしょうがないですし。

渓:じゃあ、消去法でハナマキ。停学1ヵ月ですむようにしてあげるから、自首しなさい。

葉:否、私による所業ではありません。

渓:所業って…。じゃあ、あれか、自滅か

春:いや、転んで打ったわけでもなさそうですし、後頭部を自分で殴るのって、まず無理ですよね。これは誰かにやられたとしか。

渓:ふむん…じゃあ、とりあえず、こういう仮説はどうかしら。


続く。

夏休みなので、普段にない試みを。植物学的に楽しんで頂ければ幸いです。

 ランキングは月刊ブログとしては健闘しているかと。今回の試みは間が空くとなんだか訳がわからなくなるので、頑張って更新します。お時間のあるときにでもクリック投票を→

脅威な教育

  • 2008.08.01 Friday
  • 08:00

もはや恒例となった感もあるが、久しぶりの更新である。危うく今月の更新は0となるところだった。なぜこんなに更新が少ないかというと、純粋に忙しいからである。はっきり言って今年度に入ってからの忙しさは尋常ではない。おそらく大学の定員削減の影響だと思う。

ともかく、これだけ忙しいと早く学生を育てて、一人前にしないととてもやっていけない。いつまでも手取り足取りでは、とても時間がたりないのだ。これからは多少スパルタ気味になるが、がんがん教育していく必要がある。


助教の八月春(以下、春):それは、つまり、さらに厳しい態度で学生に接するということですか。

ワタシ(以下、渓):うん、まあ、そうなるわね。

春:なるほど。要するに圧政から暴政へとステップアップすると。

大学院生の葉名真樹子(以下、葉):暴動必至

渓:あのねえ、今までのどこが圧政なのよ? もうこれ以上ないくらい学生に対して優しいでしょ、ワタシは。

春:まあ、獅子が我が子を千尋の谷に殴って突き落とすときに「ベアーナックルをつけずに素手で殴って突き落とすんだから、ワタシも優しいなあ」というくらいには、優しいですね。

葉:先生の態度より優しさを検知するのは、バファリンから優しさを検知するのと同程度に困難かと。

渓:あなたたちに言われたくないわね。だいたい、ワタシは西月先生みたいに学生を毒蛇採集のために孤島に送り込んだり、毒サソリ採集のために砂漠に置き去りにしたり、忘年会でぶりがに鍋をやったりしないでしょう? 十分、優しいじゃない。

春:比較対象が間違ってますね、完璧に。ともかく、これ以上厳しくしたら、うちでも堀君のように犠牲者がでかねませんよ。…彼も、今思えばいい奴でしたね。どうでも

渓:いや、堀君、死んでないから。たぶん。ま、ワタシも別に厳しくだけしようと思っている訳じゃないのよ。メリハリはつけるつもりだから。時に優しく、時に厳しく。まあ、教育の基本ね。

春:なるほど、つまりアミとムチですね。

葉:網で捕らえて、鞭で打つ

渓:…万全の攻撃態勢ね、それ。違う。アメとムチよ、アメとムチ。やっぱり、ある程度の報酬系がないといくら厳しく教育してもだめなのよ。

春:ふむん、まあ、それは分かるんですが…この研究室における「アメ」って何ですか? ちょっと想像がつかなくて…あ、脅える学生に対して「命だけは助けてやる」と言ってあげることとか?

葉:生存権の確保ですね。

渓:どんなマフィアの組織だ、うちは。アメって言うのは、たとえば、そうねえ、学生が暑い中遅くまで実験をしていたのに結果がうまく出なくて、徒労感が漂っているときに、ワタシのポケットマネーでパーッと飲んで雰囲気を変えるとか、そういうのかな。

春:パーッと飲む…毒をですか?

葉:確実に雰囲気激変


どちらかというとあなた達に飲ませたいわね。

 それにしてもついに7月は1回も更新できませんでした。いや、本当に困ったものです。何とか、時間をつくりたいと思うのですが、なかなか。授業も終わったので(野外実習がありますけど)少しは更新ペースが上がると思うのですが。ただ、授業のない時は学生の研究指導が集中的にできる時期でもあるので、特に卒研生が多い今年はそちらに時間を割かれる可能性が高いです。やっぱり、教育が重要ですね。

 ランキングはだいぶ下の方に来てしまいました。まあ、1ヶ月も更新してないのですから、当然か。とりあえずぼちぼちやっていきますので、お時間のあるときにでもクリック投票を→

奇特な特訓

  • 2008.06.30 Monday
  • 08:00

 久しぶりの更新である。というのも、現在ややトラブルを抱えているからである。

 実を言うと、そこまで神経質になることもないとは思うのだが、今年卒業研究のために研究室に入ってきた4年生の実験がうまくいっていない。まあ、うちの研究室は他の生物系の研究室とは違って、実験と言ってもは植物の形態の観察とDNA系統解析が中心になるのだが、それが芳しくない。

 今年の卒業研究生はワタシの研究室にしては多い(例年1人)、男性1名、女性2名の計3名なのだが、その男子学生の実験が特にうまくいっていない。電子顕微鏡の試料をつくってもぼろぼろになってしまうし、組織切片はそもそもうまく切れていない。何というか、相当不器用なようだ。まあ、卒研生は研究室に入ったばかりなので、失敗が多くて当たり前なのだが、それでも6月ともなればある程度できるようになってくるものだ。しかし、今年の新人は今までにないくらい、できない。さてどうしたものか。


助教の八月春(以下、春):先生が学生の心配をするなんて。これは明日は雨が降りますね。血の

ワタシ(以下、渓):今すぐにでもあなたの上に血の雨を降らせたい気分ではあるけどね。

葉:床が汚染されて実験に支障が出ますので屋外での実行を推奨します。

渓:全く、たまに人が真面目に研究室のことを考えるとこれだからやる気がなくなるのよね。

春:「たまに」っていうのが大いに問題がある気がしますが。まあ、それはいいとして、加藤君ですね、うまくいってないって言うのは。

渓:うん、そう。彼、どうにも不器用なのよねえ。学力とやる気は普通にあると思うんだけど。細かい作業ができないみたいでね。

春:ふむん、そうですか。では、特訓しかないですね。まあ、時期が早い気もしますが、まずは千本ピペット<から。

渓:…ちょっと待て。特訓っていうのはまあいいとして、その千本ピペットって何? 

春:ピペットマンを使って1000種類の試薬を意味なく作る、渓中研恒例の新人歓迎行事ですが、何か問題が?

渓:あるに決まってるでしょ。人が知らない間に勝手に妙な研究室行事を作るなっ。通りで最近夏になると急に試薬代が上がると思ったわ。まさか、他にもないでしょうね。

葉:大丈夫です。後は寒中泳動のみです。

渓:カンチューエイドー? 何それ。

春:真冬の最も寒い時期に屋外に出て電気泳動をするという新年恒例の研究室行事ですけど。ちなみに男子はついでに幕張の海で寒中水泳をしつつ、ぶりがにの採集もしてもらっています。もちろんご存じですよね。

渓:知るわけないでしょ。初耳よ、初耳。要するにそうやって4年生をいじめていた訳ね。通りで入ってくる学生が少ないはずだわ。

春:いじめなんて、とんでもない。彼らのことを思えばこその仕打ちです。

渓:いや、仕打ちって言ってる時点でいじめだと思うんだけど。

春:いいですか、先生。並の人間では、先生の放つ毒気にあてられたら半年と持ちませんよ。それを私が特訓することによって耐性をつけさせ、何とか1年持ちこたえさせているんじゃないですか。

葉:毒をもって毒を制す

渓:誰が、毒だ。全く、とにかく今年からその特訓はやめなさい。死人が出ないうちに

春:しかし、だとするとどうやって新しい卒研生を鍛えればいいんですかね。百人組手でもやりますか?

渓:…念のために言っておくと、うちは植物学の研究室なんだけど。特訓はいいけど、もっと植物学の知識が養えるような特訓をしなさい。

葉:毒草百種早食い競争

渓:知識を養う前に死ぬと思うわ、その特訓は。だからね、特訓そのものはワタシも否定しないわ。でも、無駄に体力を使ったり、毒を使ったり、ぶりがにを使ったりするのは全却下。

春:ふむん、しかし、そんなに制限ばかりでは、学生がラスボスである渓中先生を倒す力がつけられないのですが。


まずは、中ボスの助教を倒して欲しい。

冒頭でも書きましたが、久しぶりの更新です。ブログだけではなく、研究の力も最近はあまり更新されておらず、自分自身の特訓が必要だな、と感じています。1000枚標本でもやろうかな。

 ランキングはさすがに順調に降下中。まあ、徐々に更新して徐々にあがっていきたいと思います。お時間のあるときにでもクリック投票を→

恭順な教授会

  • 2008.06.13 Friday
  • 00:27

 教授会に出たくない。ワタシは一応教授会のメンバーになっているので、月に1回は学部の教授会にでなくてはいけないのだが、これが非常に面倒くさい。そもそも国立大学法人になってからの教授会は(まあ、昔の教授会のことは話に聞くだけだが)重要なことはほとんど審議しないといっても過言ではない。。大半の重要な事項は各種委員会によって決定されていて、教授会では報告だけである。

 せいぜい重要なのは人事関係くらいで、例えば新任の助教、講師、准教授、教授の採用や昇任に関しては教授会で最終的な採決を取り、承認されなければならない。しかし、これも事前に採用予定の各分野の人事委員会で審議され、推薦されてくる人物の信任投票を行うだけで、よほど問題がない限りは承認される。

 報告事項などについて、もちろん意見を言うことはできるが、言うだけであまり反映されているようにも思えない。だいたいいつも発言するのは一部の年配の教授と決まっており、若手の教授や准教授はあまり話さないのが普通だ(例外もあるが)。ということで、行ってもただただ人の話を聞くだけで、きわめて退屈なので行きたくないのである。しかし、一応出席は義務と言うことになっている。もっとも、何か理由(その他の会議、公務出張、病気・怪我など)があればでなくても良いのだが。


助教の八月春(以下、春):怪我でよければ理由をつくって差し上げますが。

ワタシ(以下、渓):圃場の草を刈る大鎌を持ってそういうことをいうのはやめてもらえるかしら。怪我ですまなそうだし。

春:いいじゃないですか、万一殉職しても教授会に出なくてすみますよ。

渓:殉職じゃなくてただの殺人でしょう、それは。

大学院生の葉名真紀子(以下、葉):では、疾病に起因する欠席は如何ですか。

渓:…で、その手に持っているビーカーに入った粘度の高そうな謎の紫色の液体は、何?

葉:企業秘密

渓:ハナマキは裏で本当にそういう会社をやっていそうだから怖いわよね。

春:まあ、学生が起業する大学ベンチャーも奨励されていますから、それもいいんじゃないですか。

渓:そういうベンチャーは奨励されていないと思うわよ、絶対。それにしても出たくないなあ、教授会。八月春、代わりにでてくれない?

春:つまりなべやかんですか?

渓:…は?

春:いえ、通じなければ結構です。しかし、いくら何でも先生の代役というのは荷が重すぎます

渓:そう? 大丈夫でしょ。

春:いえ、まずは悪魔に魂を売らないといけませんからね。大変です。

渓:あら、あなたならとっくに売ってるかと思ってたけど。というか、買う側でしょ。まあ、そういう戯れ言は置いておくとして、何とか出なくてすむ方法はないかしら。

葉:先生、発想の転換が必要です。教授会を享受するよう自助努力を実行すれば、自然と出席の意志が創出されます。

渓:教授会を享受って…まあ、ダジャレの部分は深く追求しないとして、要するに教授会を楽しめってこと? 無理よ、あんなつまんないもの。

春:先生ならできますよ。だって、先生の専門の植物形態学も一般人から見れば教授会以上につまらないと思いますよ。そんな学問をこうやって仕事にできるんですから、大丈夫。

渓:…まあ、それは否定しないけど、しかし、それとこれとは話が別でしょ。例えて言うなら、そうねえ、C県の誇る某プロ野球チーム・ロッテの試合を楽しむ変わり者は希にいても、コミッショナー会議を楽しむ人はいないでしょう。

春:そんなことを言ってるとロッテファンの怒りを買って、明日は幕張の海に浮かびかねませんよ。

渓:そういうことをするファンはあなただけだから。でも、まあ、わかる例えだと思わない?

葉:そうした懸念は受動的に教授会に参加することに起因すると考えられます。従来以上の積極的参加姿勢で臨めば、享受間違いなし。

渓:積極的ねえ。もっと発言しろってこと? 別にそうやってもあんまり楽しくはないと思うんだけど。

春:つまらない発言をした教授を殴っちゃうと言うのはどうですか。先生はすっきりするし、結果的に先生もいなくなって私達もすっきり。まさに一石二鳥。

渓:ついでにつまらないことしか言わない助教も道連れにするけどね、その場合。で、ハナマキはもうちょっとましな考えがあるわけ?

葉:秘策が存在します。

渓:…その策は秘めたままにしておいた方が良さそうな気がひしひしとするけど、万が一ということもあるから聞いておこうかしら。どういうアイデアなの?

葉:露西亜的回転板です。

渓:…なにそれ?

春:ロシアンルーレットのことじゃないですかね、たぶん。なるほど、教授会でロシアンルーレットをやって毎回1人ずつ減らしていけば、みんなはらはらどきどき楽しめるし最終的には1人だけになって会議もしなくてすむから一石二鳥ってことね。

渓:何度も言うようだけど、日本には銃刀法違反という法律があるんだけど。

葉:私の提案する露西亜的回転板は銃は不使用です。

春:銃じゃない? じゃあ、バルカン砲ね? あれも回転式だし。

渓:ちょっとあなたは黙ってなさいよ。で、具体的に何をするわけハナマキ?

葉:はい。伝聞によると、教授会では緑茶が提供されるとか。

渓:うん、まあ、出るわね、お茶が。

葉:その緑茶を露西亜紅茶に変更します。

渓:ああジャムの入ったロシアンティーのことね。…何かオチが読めてきたな。

葉:一人分だけ液体果実砂糖漬けの代用としてこの紫色の液体を入れて特製紅茶の杯を用意し、他の通常露西亜紅茶の杯と一緒に提供します。誰が特製露西亜紅茶を飲用するか否かで、会議が娯楽の場に。結果は銃を使用した場合と同様、一瞬で判明しますので、即座に楽しめます。

春:確かにロシアンルーレットね、それ。


しかし楽しいかな、それ。

 と、このブログを書いていたら某大学でまたもやお茶にアジ化ナトリウム混入の事件が。そんな時に不謹慎だ、と怒られるかもしれませんが、まあ、怒られることには慣れているのでそのまま更新します。それに紫色の液体が毒とはどこにも書いてありませんし。ワタシは絶対飲みませんけど

 ランキングは他力本願式に2位まで浮上。できるだけ多くの更新を目指しますので、よろしければクリック投票を→

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