実験的な事件3

  • 2008.09.04 Thursday
  • 09:01

連続更新して安心した訳ではないが、いつの間にかまた1週間も間が空いてしまっていた。時が経つのは早いものである。

 なんと言っても続き物なので、早めに更新しなくてはいけない。ちなみに、次回でこの試みは終了である。


助教の八月春(以下、春):犯人指摘可能ねえ…で、誰が犯人なの?

大学院生の葉名真樹子(以下、葉):渓中先生です。

春:確かに渓中先生は存在が犯罪だとは思うけど、証拠がないとねえ。

渓:ちょっと待て。存在が犯罪って、何?

春:何だ、聞こえましたか。えーとですね、それはあれですよ、先生。よく褒め言葉として言うじゃないですか、「あなたも罪な人ですね」って。それとほぼ同じ意味です

渓:いや、絶対に違うと思うんだけど。

春:いやいや、先生ほど魅力的な人ですと知らないうちに人を傷つけることもあるということですよ。

葉:要約すると人間凶器

春:ま、そうとも言うわね

渓:人間凶器は、あなたでしょ。素手でツキノワグマと戦ったことがあるくせに。

春:先生、誤解を招くようなことは言わないで下さい。それは事実ではありません。ツキノワグマじゃなくてヒグマですから。

渓:…まあ、どっちでもいいんだけど。それで? 何でワタシが犯人なわけ、ハナマキ?

葉:床面を凝視下さい。標本押し用の重量約十貫(=37.5kg)の石に血痕が付着しています。そして、堀助教の頭部に石と同形の傷が。これが致命傷と推察されます。

春:だから、まだ死んでないんだってば。おそらく

渓:そんなことくらい見れば分かるでしょ。だから、それで何でワタシが犯人になるわけ?

葉:傷を凝視下さい。人体の急所である脳天付近を外れ、骨の肥厚した前頭部に傷が存在します。要約すると、犯人の殴打は不首尾に終了したと推察されます。

春:要するに犯人はしくじったということね。惜しい

渓:…なぜ犯人は八月春を狙わなかったのかしら。この研究室内ならば治外法権で無罪になったのに。で、それで?

葉:十貫の石です。十貫というのは、常人ならば男性二名の腕力を以て漸く頭上に掲揚可能な程度の重量と推測されます。しかし、犯人候補は女性三名。

渓:じゃあ、犯人は八月春でしょ。この女なら、この石くらい片手で振り回せるわよ。

葉:確かに八月助教の人類から相当逸脱した怪力を駆使すれば、容易に殴打可能です。然し、容易だけに急所を逸打する可能性は低い。

春:要するに私が犯人だとすると、外すはずがないと。まあ、確かにリビアではそうだったけど

渓:傭兵時代の話はいいから、本題に戻すわよ。つまり、八月春が犯人ならば脳天を直撃している、と。

葉:加えて、私は通常人類女性の範疇の腕力しか有しないため、当該の石を頭上に掲揚することは不可能です。然し、通常人類から若干逸脱した怪力の渓中先生でしたら、頭上に掲揚する段階までは可能と推測されます。掲揚は可能でも、照準は不正確だった。これらの推論を総合し、渓中先生を犯人と断定しました。

渓:なるほど…でも、その考えには大きな穴があるわね。

春:自分の怪力はそんなものではない、ということですか?

渓:違う。実はね、今肩を痛めていてこの通り、胸より上に上がらないのよ。

葉:四十肩

渓:違う。交通事故よ、交通事故。自転車に乗っていたら急に猫が飛び出してきて、よけようとして転んで痛めたの。

春:先生にそんな人間らしい心が…そういう場合、先生ならツタンカーメンのような笑みを浮かべてそのまま轢くのかと思いました。植物以外に用はない、とか叫びながら。

渓:その都市伝説みたいな妄想はやめてくれる? とにかく、そういうわけでワタシはこの石を持ち上げて堀君を殴るのは、今日不可能。つまり、犯人じゃないわね。

葉:成る程。事件は振り出しですね。

春:いや、そうでもないわよ、ハナマキ。今までの話で、というか最初から、犯人はあきらかだわ。


次回簡潔に完結し、誰も興味のない犯人が明らかに。

 お盆休み中に閑だから完成させてしまおうと思ったのですが、いつの間にか9月に。どうしようもないペースですね。ちなみに、もう堀君は退院していつも通り元気なくやっています。

ランキングもぼちぼちよろしくお願いします。お時間のあるときにでもクリック投票を→


コメント
犯人はもちろんですが、次回のタイトルが気になります。
 
普通に、
 
−実験的な事件・4−
 
偶数回はこうなる?
 
−実験的な実験・4−
 
あとがきで示唆された
 
−簡潔な完結−
 
さあ、どれだ。
>なんと言っても続き物なので、早めに更新しなくてはいけない。

私には前ふりに上の文章があるように見えるのですが、幻覚でしょうか?

あ、コメントまで1ヶ月ぶりだ (^_^;
コメントへのレスも遅くなってしまい、恐縮です。恐縮とは怖くて縮こまること。堀君の得意技です。

>普通に、−実験的な事件・4−

 何が普通かは人にもよると思うのですが、今回は普通に。いや、毎回普通のつもりでやっていますが。本当に。

>私には前ふりに上の文章があるように見えるのですが、幻覚でしょうか?

幻覚です。あるいは半年くらいは「早め」のうちなのかもしれません。
  • タニナカキミ
  • 2008/11/18 4:01 PM
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