修飾された就職
- 2009.03.05 Thursday
- 01:52
このブログとしては異常に早い更新である。雪も降るわけだ。さて、いよいよ年度末。何だか分からないが忙しくなる時期である。
さて我が研究室の葉名真樹子ことハナマキは、今日は今年4月からの就職先を決めるべく、面接に出かけている。実は彼女はようやくこの3月で博士号をとれることになった。そして、取得後は基本的には一般企業への就職を希望しており、今日はその第1希望の2回目の面接らしい。
大学の3年生がやる、通常の就職活動では普通4月からの採用者に対してこの時期には面接などないが(とっくに決まっている)、博士持ち(またはハナマキのような取得予定者)にとっては企業の面接はいつあるか分からない場合が多い。そもそも博士号を持っている人間の企業側の需要は少なく、「景気が良くて欠員が出れば…」という程度だからだ。
つまり面接まで行ければ良い方で、一般企業への就職を希望していてもなかなかそこまでさえいかない博士持ちが多い。少なくとも理学系では、一般企業は狭き門なのである。ただ、だからと言ってすぐに「博士号を持っている人間をもっと企業は(特に大企業は)とるべきだ」と声高に無責任な発言をする諸先生方には賛成しかねる。給料が高くなる、専門性が高すぎて教育しづらい、研究にこだわる…などなど、企業が博士を敬遠する理由は諸説あげられているが、要は単純に大学が企業のニーズに合う博士を輩出していないということであろう。もし、前述のような「企業はもっと博士をとれ」という主張をするのであれば、大学はもっと企業の即戦力となるような博士を世に送り出すように制度改革を進める必要がある。
が、そのような環境でなる「博士」というものが本当に「博士」いうことができるかは甚だ疑問ではある。そんな中、葉名真樹子が面接から帰ってきた。
ワタシ(以下、渓):あ、ハナマキ。面接はどうだった?
大学院生の葉名真樹子(以下、葉):首尾上々。
助教の八月春(以下、春):その割には服に血痕がついているのが、気になるんだけど。
葉:その血液は鼻血由来です。体調不良。
渓:鼻血が背中につくかしら?
葉:付着します。私の鼻血ではありませんので。
春:要するに、相手を殴り倒して、その追いすがる相手の鼻血がついた、とこういうわけね。血痕の量から察するに…5人くらい? まあ、確かに首尾上々ね。
渓:まあ、たぶん、そういう状況だとどう考えてもだめだろうとは思うけど…どんなこと聞かれたの、面接で?
葉:万一入社可能な場合、如何なる仕事を希望するかの質問を。
渓:何て答えたの?
葉:如何なる仕事も遂行する覚悟。
春:暗殺者みたいね。
渓:血塗れのスーツを着ているとなおさらね。だから、なんで鼻血か何か知らないけど、そんなに大量の血痕が背中につくのよ。
葉:面接中に特技に関する質問を受理。可能ならば披露しろとの指示がありました。
春:要するに手品とかけん玉とかやってみせる、一芸入試みたいなものね。
葉:熟考の上、得意の空手の高速後ろ回し蹴りを披露したところ、足先に違和感が。求職服故に、動きが制限されていたことが原因かと。
渓:いや、原因はもっと根本にあるでしょ。
春:そうか、大変だったね。受かるといいわね。
渓:面接官を蹴り倒して受かるのはマフィアの面接くらいだと思うんだけど。訴えられないだけでも、マシ。
葉:あ、着信有り。はい、はい、了解。先生、先ほどの面接、合格だそうです。来週役員面接とのこと。
マフィアの面接か。
なお、ハナマキが面接を受けているのは某出版社(と言ってもみなさんは知らないような、理化学書専門のところ)。理化学書専門の中では結構有名で、たまに博士号を持っている人をとるそうです。しかし、ハナマキをとろうかと検討しているとは、よほど景気がいいのでしょうね。あるいは本当に暗殺者を欲しているかのどちらかでしょう。
ランキングの方は、おかげさまで若干回復。地道に上位を目指します。とりあえず、今度の目標はWBCが終わる前に更新、としておきます。お時間のあるときにでもクリック投票を→
『高速後ろ回し蹴りを披露』・・・要するに、『合格させへんかったら覚悟せぇよ、ワレ!』と言う、素晴らしくえげつない脅しをかけた訳ですね。
研究室でもよくやっています。
「体幹高速回転を主要因とする下肢の運動量・運動エネルギーの,対象物目標部位における分子内又は分子間結合の切断に係る高効率伝達」
に関する実証実験の高い再現性を面接官に確認させたところにあるのではと推論されます。
タニナカ研では,生物学には珍しく,破壊・破砕・粉砕に関する素粒子物理学に匹敵する高精度実験が毎日行われているところが,識者の評価を高めているのだと考えております。
>WBC も終わったし、
もしかしたら第3回のWBCかもしれませぬ・・・・
なるほど。ならば、たとえいつ更新されても、公約は守られるわけですね。先入観に囚われ、軽はずみな発言をしましたことを深く反省いたします。
しかし、次回更新が4年後の可能性もある訳ですか。先が長いですね・・・
初めてブログを読ませて頂き、笑い転げてしまいました。
あまりに面白かったので作風を少し拝借させて頂きました。
事後報告になりますが、お許し下さい。
ネオになる前のブログ(アンダーソン君?)はどこかに残っているのでしょうか?
また勇姿を拝見させて下さる日を、切に願っております。
七夕だけに。
あっ、0時過ぎてた。すみません。
>生物学には珍しく,破壊・破砕・粉砕に関する素粒子物理学に匹敵する高精度実験が毎日行われているところが,識者の評価を高めている
識者って言うのは警察のことでしょうか。捜査対象にならないか、心配。
>もしかしたら第3回のWBCかもしれませぬ・・・・
>なるほど。ならば、たとえいつ更新されても、公約は守られるわけですね。先入観に囚われ、軽はずみな発言をしましたことを深く反省いたします。
このブログを読んで下さる方は本当によく分かっているな、と感心しきり。とりあえず、冬季オリンピックの前には更新できました。
>ネオになる前のブログ(アンダーソン君?)はどこかに残っているのでしょうか?
手直してしてからアップロードし直そう、と思っていたのですが、かなり面倒なのでそのままアップロードしようと思っています。
>谷中先生・・・お元気でいらっしゃるのでしょうか・・・。
ヤナカって誰ですか、と、ただでさえ少ない貴重な読者を減らすような揚げ足取りはやめて、まじめに答えると、元気じゃないです。お盆の日による1時半まで仕事しているのが、その証拠。そんな中でブログにコメントなんか書いているのが、もっともっと証拠。